原作つきの映像化作品

原作があって映像化された作品は、先に映像化された方を観るに限る。ここで言う原作とはまあ小説とか漫画とかの「読み物」のことで、映像化作品とはアニメなりドラマなり映画なりといったもののことである。

読み物として表現されたものは読み物としての時間軸を持っているのであって、実際にそこに書かれていることを実時間軸で表現しなければならない映像化作品ではどうしても端折ったりアレンジしたりしなければならないわけで、いやむしろそうせずに原作のまんま映像化したうりらそれは冗長になってしまうのが当然ではある。

特に原作が小説だったりすると、いろいろな心理や風景が細かく描写されているものをそのまま映像ですべて説明するなどということはしないわけで、情報量という意味では原作のほうがどうしても多くなってしまう。

そんなわけで、先に原作小説を読んでから映像化作品を鑑賞すると、「あれ、なぜあのシーンがない」「なぜあのセリフをカットした」「ここのモノローグで語られている主人公の気持ちが再現されていない。この映画とったヤツは原作を理解できてねーな」などと思ってしまいがちである。

逆に、先に映像化作品を観てから原作小説を読むと、「おお、実はこのシーンにはこんなバックグラウンドがあったのか」「ここに出てきたこの小物には実はこんな意味があったのか」「ここで黙ってたこの脇役は、実はこんなこと思っていたんだな」などと、より深く作品を知ることになり、後からおいしい思いをすることになる。

まあこんなことはある程度小説や漫画を読んだり、映画やアニメやドラマを観たりする経験の多い方は、今更アタクシなんぞに言われなくても大方ご存知であろう。

問題なのは、先に原作を読んでしまって、その原作を大層気に入った後に映像化された作品を観て、それが自分のイメージと異なってしまった場合である。

どうしても自分のイメージが先行してしまうし、本来原作から派生した二次制作物が原作どおりである必要などまったくないわけで、原作から飛翔して別の作品となっておもしろい作品だって世の中にたくさんある。

それがわかっているのに尚、やっぱり大人として納得することが難しかったりするのだから困ってしまう。それはやはり「感情移入」してしまったが故なのかもしれず、映像化作品を作られた方にはある意味申し訳ないけれども、原作をそれほど気に入ったのだからということでお許しいただきたいなと思う次第。

映像化作品を先に観て、原作を読んで、なんだい映像化作品のほうが全然良かったというときは頭に来ることなく、むしろ「得した」という気分になる。なんだか妙な話だけどなぜなんだろうか。

先に原作を読んじゃった後に映像化作品を観て、自分の好みと異なった場合にうまく楽しめるコツをご存じの方はご教授しただけけると嬉しいのだけれど。

そんなわけで、こんなことを書いているということは最近そう思った作品を鑑賞する機会が多かったということで、一部ご紹介。なんか最近アフィリエイトっぽいの貼ってばっかだね(汗

今回も独自の趣向で気に入った作品をご紹介してみようというシリーズでございますですよ(汗

<古典部>シリーズ

→Amazon の特集ページ

原作を後から読んだのだけれども、どちらもとても楽しめた。

もうちょっと細かい感想は Podcastで熱弁してますので、そちらをどうぞ→インターネットラジオ『続Qrtn -くるとん-』

のぼうの城

これも原作を後で読んだ。とゆーか、原作は後から読むことに決めていた。映画が震災の影響でかなり長い間封切りが延期されて辛かったけれど。映画は原作をとてもよく整理して、一部わかりやすくアレンジしてあってとても良かった。

ビブリア古書堂の事件手帖シリーズ

ドラマ化されるとは知らずに先に原作を読み始めてしまった。世間ではキャスティングが原作と違いすぎるという意見が多いみたいだけど、僕は原作どおりにやる必要はないと思うので、そこは気にならない。でも、なんかやたら音楽がうるさいのと、オープニングで本棚から本がガサガサ落ちる演出はこの作品にとてもそぐわない感じがする。演出がちょっと僕は苦手だったなあ。まあこのへんは個人の好き嫌いのハナシにもなってしまうのだけれども。

原作知らずにドラマを観た方は、その内容が好きでも嫌いでもどちらでもぜひ原作も読んでいただきたいなと思う作品。お、4巻も出るんだな。

桐島、部活やめるってよ

原作を後から読んだ。映画は原作をベースに違う作品になっていながら、発端と結末はほぼ原作どおりというとても凝った作品でとてもおもしろかった。原作も映画版に比べると世界観の広がりは小さいけれども、とてもみずみずしい作品だった。原作のみずみずしさと映画の生々しさを比べながら鑑賞するとおもしろいかと。

おおかみこどもの雨と雪

アニメ映画の監督自ら執筆した原作小説ということで、驚くほど原作と映像化作品の内容が一緒w。ちょっとだけ小説独自の解説的なところがあるので、映画を気に入った方は読むとちょっと深いところがわけるけれども、むしろ「おお、おんなじだ」と思いながら読むのが楽しいかもw

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