地方在住者におくる、radiko.jp プレミアムに金を払ってでも聴きたいラジオ番組


全国の民放ラジオ局をインターネットで配信してきた radiko.jp。震災時の一時的な例外を除き、例えば長野県なら長野県で普通に電波で受信可能な放送のみしか聴取できないような制限がかかっていたわけだが。

2014年4月1日をもって、有料かつ一部ではあるけれどもこの制限が解除された。その名も radiko.jp プレミアム。これはものすごくエポックメイキングなできごとだと僕は思うのだ。

ラジオや音楽は衰退していると訳知り顔で言われている昨今だけれども、海外に目を向けるとこんなハナシもあるそうな。

アメリカ人が新しい音楽を見つける時に使うテクノロジーは? 調査結果で明らかに | All Digital Music

ネタばらしをしてしまうと、YouTube よりも、家族・友人知人からのレコメンドよりも、AM/FM ラジオから新たな音楽に出会うことのほうがダントツで多いらしいというハナシ (12歳〜24歳ではまた違うらしいが)。

翻って日本ではどうか。よく知ってそうな方から日本とアメリカではラジオのポジションが全然違うのだというハナシはきくのだけれども、実は日本国内でも東京大阪のような大都市圏とそれ以外でのラジオ放送はまったくもって違うのである。

僕が居住してる、かつて冬季オリンピックが開かれた長野県でさえ、ラジオといえば NHK 以外では民放 AM 局が1局、FM 局が1局あるだけである (コミュニティ FM は除く)。残念ながらこれでは多様性など望むべくもない。

別でも書いたけれども、自分が小学生や中学生であった子供の頃 (って何十年前だ?)、もし都会に憧れるというか、都会が羨ましいと思うことがあるとしたら、たくさんおもしろそうなラジオ番組がある!ということだけだったことを思い出す。

ご存じない方にはまったくピンとこないハナシかもしれないけれども、例えば僕らが学生だった頃はまだ民放 FM 局もなく、深夜放送といえばオールナイトニッポンしかないというのが現実であり、もちろんオールナイトニッポンも楽しく聴かせていただいたけれども、その裏でやってた TBS スーパーギャングのコサキン (小堺一機&関根勤。現在でも優しいソフトな印象のお2人ながら、ラジオで2人揃うとそれはもう別人のように毒舌かつ不条理な激しいトークになるのがすごかった) とか、泉谷しげる&所ジョージ (このコンビはラジオ番組終了後製作陣に好評だったらしく、たびたびテレビでも再結成していた) などなど、他にも聴きたい番組はあったのだ。

僕の住む長野県は山に囲まれているため深夜といえども首都圏の放送をキャッチするのは簡単なことではなく、さらに北朝鮮の高出力放送と闘いながら (これは冗談でもネトウヨ的 dis りでもないことは深夜放送ファンの皆様であればご存知のことでありましょうや) なんとか聴きとっていたというのも中学高校の頃の若気の至りであり、イイトシこいた今それやれって言われてもちょっと冗談じゃないよってハナシである。

選択肢のない地方のラジオ放送は、あえて口悪く言ってしまえばご年配の方々に向けたオールドメディアであり、もちろんほとんどがキー局製作の番組であるわけだけれども、聴取できる番組の絶対量は都会に比べてほんのわずかであるということを認識しておられない方も大変多いのではないかと思う次第である。

そんな中、「CM 付きの民放放送を月額有料で聴かせるってのはどういうことなんだ?」と批判的な意見も巷間あるようだけれども、それを踏まえてなお画期的だと思うわけだ。

なにがそんなに騒ぐようなことなのか?と、どうしてもピンとこない方も多いとは思う。だが考えてもみよ。首都圏向に radiko.jp が配信している民放 AM 局は放送大学を入れて5局。長野県には1局しかないことを考えると実に5倍。民放 FM 曲は6曲。長野県ではコミュニティ FM を勘定に入れて2局としても3倍。それほどまでに情報流通量に差があるのだ。さらにいうと、実は首都圏では実はすでに AM 放送はとっくにステレオ放送になっていることをご存じない方も少なくないのでありませぬや。

仮に同じ番組が首都圏の radiko.jp と長野県の radiko.jp で同時に放送されていたとしても、かたやステレオでかたやモノラルだとしたら、音楽番組であればそれこそ盟主と奴隷ぐらいの待遇の差が存在していると言っても過言ではないのだ。この事実に地方在住者は気がつかないとヤバい。

CD が売れない、音楽が売れない、ヒットチャートは AKB とジャニーズばかりと嘆く向きもあるけれども、そもそも日本のほとんどを占める「地方」では、音楽の1次情報たるラジオ番組があまりにもあまりな有り様であり、かろうじてネット局のある FM も音楽よりバラエティー番組ばかりが中心に放送されているとしたら、そりゃあ日本で音楽なんか売れるわけねーというハナシなのである。

というわけで、なんだかチカラが入りすぎてポンコツなアジテーションじみてきたけれども (苦笑)。

ちょっと古い映画がオンデマンドで見放題の Hulu が月額 933 円。ホリエモンのメルマガが月額 864 円。音楽聴き放題の Music Unlimited が 30 日間 980 円で、近日中に日本でもサービス開始と言われながらもさっぱり始まらない Spotify もそれぐらいになるんじゃないかと思われる。

それを思うと、radiko.jp プレミアムの月額 350 円 (税別) というのは「え、安いじゃない」と正直思ってしまったぐらいだけれどもね。あ、褒めてもなにもいただけませんかそうですか…。

というわけで、僕は実はとある方法で (不正ではないよ。たまたま条件が揃ってしまっているだけ) 以前から radiko.jp で首都圏の放送を聴けているで正直プレミアムにはまだ加入予定がないのだけれども、多くの方が同じ条件を揃えられるわけではないので、そんな方がお金を払ってプレミアムに入会してでも聴くべきというか、聴いて損のない番組をご紹介しよう。

ちなみにこの記事、あまりに当たり前の番組を紹介していて首都圏にお住まいの方はなにを言っているんだコイツはとお思いになるかもしれないけれども、これらの番組を金を払っても聴くべきと力説しなければならない程に地方のラジオ環境は哀しい有り様であるのだということをご理解いただきたい。

その1:菊地成孔の粋な夜電波 (TBS)

正直言って、この番組を毎週、1ヶ月に4回程度聴けるというだけで 350 円のモトはとったと思ってもらっておkである。

ジャズミュージシャン菊地成孔氏がパーソナリティだけでなく番組の構成から CD のプレイまですべてを行う番組。時の古今、洋の東西、有名スタンダードからなんだこりゃ?というレア音源を問わず様々な音楽が紹介され、「AM ではかかったことのない曲」と自称するほどに AM とは思えない素晴らしい曲ばかり。さらにご本人や関連ゲスト、アナウンサーや普段は交通情報を読んでらっしゃる交通アナウンサー(!) まで巻き込んでのラジオコント (台本は菊地氏による) の上演。そういった企画モノだけでなく、そもそも菊地さんご自身がかなりおもしろいヒトなので、フツーにトークがめちゃくちゃおもしろい。女性にはジェントルに、男性にはイタズラ仲間のように。

この番組は Podcast もあるのだけれども、ご本人もおっしゃっているように、この番組は Podcast で聴いてもおもしろさが 1/10 程度しか伝わりません。なにせ音楽がかからないから。しかも前述のとおり radiko.jp だとそれら珠玉の音楽がステレオで聴けるわけで!

Podcast になって音楽がカットされたものと聴き比べるとおもしろトークもその前後やバックにかかる音楽によってさらにおもしろさが増幅されているのだなあとしみじみ思う。

その2:Daisy Holiday!  (InterFM)

音楽家 細野晴臣氏による番組。細野晴臣さんといえば YMO が有名なわけだけれども、ここ数年は 1930 年代〜50 年代あたりの古いアメリカン・ポップスを発掘してカヴァーするのをソロワークの中心とされており、いわいるコンピューターやシンセサイザーのサウンドよりもむしろ極端なアコースティックサウンドを中心とされてらっしゃる。

そしてそれは近年活動を再再開させている YMO にも影響を与え、そのフォロワーミュージシャン達にも少なからぬ影響力を発揮しているわけだけれども、この番組はその細野さんの近年の活動の原点というか拠点になっているかもしれない。

基本的には細野さんが次々と発掘してきた古い曲をスタジオに持ち込んだ MacBook の iTunes でかけまくるというスタイル。これがまた懐メロというよりは (ご本人はそれぐらいのつもりみたいなんだけど 汗) むしろ「なんじゃこの曲は?」「どっからみつけてくるんですかこんな変わった曲?」みたいな、なんだかスゴイのが次々とかかるんですな。かつて「辺境の音楽家」と自称してトロピカルな南国や精神世界に突入していた細野さんは、ついに時間を突破してさらに凡人の及ばぬ新たなる辺境に辿り着いたか、と。

あ、まあそんな小難しいこと考えなくても、なんだか古くて可愛らしいポップな音楽を細野さんが嬉々として次々かけては解説している番組ですw

その3:The Life Style Museum (TOKYO FM)

オレはむしろこの番組は長野でもネットしているんだろうと思っていたら、実はしていないんだということに最近気がついて大変驚いた。上2つは比較的マニアックかもしれないけれども、この番組はとてもシンプルで普通でオシャレな番組。なぜFM東京なのに全国ネットしてないんだろう?

東京ミッドタウンのスタジオから「人のライフスタイルこそがミュージアム」というコンセプトで、各界の著名人を招いてピーター・バラカン氏がいろいろとインタビューをする番組。話題の著名人や科学者であったり、バラカン氏のつてでミュージシャンであったり。東京ミッドタウン内の各美術館の学芸員の方であったり。

震災直後はちょっと原発問題とかで上杉隆氏に肩入れをしたりして、ああまあ素直なバラカンさんだからちょっとしょうがないなという時期もあったのだけれどもそれもまたご愛嬌w

あたしゃ田舎者なのでこういうことを言うのはなんなのだけれども、東京ミッドタウンて中にあるサントリー美術館、21_21 DESIGN SIGHT、フジフィルムスクエアといった美術館はもちろんのこと、各フロアに入っているテナントのさまざまなショップ、特に1階ガレリアの食料品や飲食店などなど、すべてが「ガイジンさんにこれが東京だと紹介している」ような施設だとワタシは勝手に理解しておりましてね。そういう意味ではちょっとハイソというか、死語ですけど (ォィ)、セレブっつーんですか?ワタシには場違いといえば場違いなんスけど、それでもイヤなカンジがしないところだなと思うんですな。

そんなに離れていないところにある六本木ヒルズはなんというか、うわちゃーここはオラのようなモノがうろつく場所でないわーといろんな意味で思うんですけどもねw

そんなわけで、「人のライフスタイルこそがミュージアム」というのはミッドタウンらしくて良い番組だなあと思うわけで。

この番組も Podcast があって、音楽番組じゃないので実はフル尺で配信されているのだけれども、KEN ISHII 氏と菊地成孔氏 (また菊地さんかい) によるテーマ曲、CM 明けにかかるバラカン氏がその回に合わせて選曲した楽曲などなどがやはり Podacst ではカットされてしまって、だいぶ雰囲気が違うので、放送版を聴いた方が断然良い。まったく不思議なもので、ちなみにほぼ同じような番組である「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」もやはり放送内容のフル尺が Podcast になっているのだけれど、半端にジブリ映画の楽曲が使われている放送バージョンより音楽をばっさりカットしている Podcast 版の方が聴きやすく、おもしろいような気がする。いやはや選曲て大事だよねー担当している方には悪いけどサ。

と、ホントはもっといろいろ紹介しつつ、上のほうでおもいっきり disった地元放送局のフォローというか、地元の局もこんなおもしろいのやってるんだし、そっちを伸ばせば radiko.jp は脅威にはならないはずだ!みたいなことも書くつもりだったのだけれど、なんか脱線ばかりが多くなって長くなってしまったので、今日のところはこのへんで挫けておく次第。

もし気が向いたらまた。


2 thoughts on “地方在住者におくる、radiko.jp プレミアムに金を払ってでも聴きたいラジオ番組

  • 2014年7月22日 at 6:25 AM
    Permalink

    こんにちは!上伊那郡箕輪町に住むものです。今朝深夜の馬鹿力を聴いた後、ニッポン放送の宮本さんと伊集院さんについて調べていたらあなたのページにたどりつきました。今34歳ですが、中学生のころから岸谷五朗さんやコサキンをずっと聴いていました。TBSめちゃくちゃ綺麗に聞こえますよ。佐久の方でも聞こえるようです。昼間も頑張れば、たまむすび聞こえます。長野は広いので、聞こえる地域もあるとお伝えしたくてメールしました。失礼しました。

    Reply
    • 2014年7月22日 at 8:57 AM
      Permalink

      どもども。
      そうですね、佐久とか伊那とかだと聴けるみたいですね。テレビとかも関東圏のがうつったりしますよねー。
      でもお金はかかるにせよそういう地域的な例外がなくても聴けるようになったというのは大きなできごとだと思うのでした

      Reply

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です