9月 07

八面大王にまつわる、もうひとつのおはなし

仕事用に書いたものの一部修正転載です。

さて、長々おはなししてきてしまいましたが、信州の山姥のお話しの最後です。

八面大王とはどういう鬼だったのか?

最初に申し上げましたとおり、鬼だの妖怪だのと言ったハナシは本来はオカルトではないわけでして、鬼なんてものは実際にはいないわけです。

あいつは鬼のようなヤツだ」というようなものですし、最後は朝廷からの刺客に倒されたわけですから、なんらかの悪事を働いた者のことだったのではないかと考えられます。

大王わさび農場と同じく安曇野市にある穂高神社の縁起によると、義死鬼という東夷 (朝廷に従っていなかった他の勢力) を田村利仁 (坂上田村麻呂の別名) が討伐したということなのだそうで、なるほど、前回までのお話とだいたいおんなしですね。
  八面大王足湯1
 しかし、もう1つのお話が伝わっています。

(続きを読む…)

9月 01

金太郎の父、魏石鬼八面大王とは?

仕事用に書いたものの一部修正転載です。

さて9月となりまして、長野市立博物館で開催されていた企画展「おばけ展~新信州七ふしぎ~」は終了したようですが、こちらの妖怪の話はまだ終わりません。というか、やっと本題に入ってまいりました。

大町市八坂村山姥の息子は金太郎であり、その金太郎の父親は安曇野の鬼「魏石鬼八面大王 (ぎしきはちめんだいおう)」らしい、というのが前回までのお話です。随分長い前振りでしたが、このようにまとめてみると実に短い(汗

このお話の初回でも書きましたが、金太郎とは大人になってからは「頼光 (らいこう)」こと源頼光 (みなもとのよりみつ) に仕えた「坂田公時 (さかたのきんとき)」でございます。

頼光とは、諸国で鬼や妖怪を討伐して朝廷の全国平定に尽力したひとであります。

その頼光に仕える四天王のひとりが坂田公時でありまして、この前書きましたとおり、京都大江山の有名な鬼「酒呑童子」を倒したなどと言われております。

このあたりは以前に「お伽草紙」というアニメにもなっておりましたな。頼光本人は病弱のため早逝してしまい、四天王とともに活躍したのはその妹だったというなんとも斬新な設定でしたけれども…。

それに対しまして、魏石鬼八面大王の地元安曇野に伝わるお話では、八面大王を討伐したのは坂上田村麻呂 (さかのうえのたむらまろ)。こちらも朝廷から派遣された武人でありまして、この方、時代が頼光や金太郎の時代より200年ほど前の御仁で、時系列が前後 してしまっておりまして、実はまったくハナシが噛み合わないのがご愛嬌なのですが、そこらあたりは人智の及ばぬものどもと渡り合うような方々ですから、タ イムスリップの1つぐらいしたんじゃないかというところでお茶を濁しておきましょう(オイ)。

で、まあつまるところこれはどういうお話なのか。

(続きを読む…)

8月 26

金太郎のおとうさんは誰だったのか?

仕事用に書いたものの一部修正転載です。


さて、何度かご紹介してまいりました長野市立博物館の企画展「おばけ展〜新信州七ふしぎ〜」は今月末まででございます。
近隣にお住まいの方々はもういらっしゃいましたでしょうか。まだの方はお急ぎくださいね。
毎週土日には「霊犬早太郎」と「鬼女紅葉」のお話を紙芝居でやってくださっていたので、最終の30日、31日もたぶんやっているのではないではないかと思いますよ。
yokai_kamishibai
さてしばらくお時間をいただきましたが、山姥のお話の続きです。
山姥の息子は金太郎であるという話が日本各地に伝わっており、足柄山の金太郎さんはなぜか神奈川県だけでなく、どうやらいろんなところにいらっしゃったらしいということ。
大町市八坂村にも金太郎をだっこした掛け軸が伝わっておりまして、前述の長野市立博物館の展示による説明によると、どうやらその金太郎の父親も判明しているとのこと。その父親とはだれか?

というのが前回までのお話でございましたね。

その父親とは、信州安曇野の「大王わさび農場」のあたりに棲んでいたといわれております、「魏石鬼八面大王 (ぎしきはちめんだいおう)」という鬼なのだそうです。

大王わさび農場と申しますのは、1917年に開場された、100年に及ぶ歴史を持ちます、たいへん大きなわさびの農場です。わさびというのは大量のきれいな湧き水の中で育てますもので、大変美しい大きな川といいますか池といいますか、下の写真のようにとてもすばらしい景色です。

(続きを読む…)

8月 18

読書:戦前の少年犯罪

謝るなら、いつでもおいで」を読んだ翌日にまたもや佐世保で大きな少年犯罪が起きて衝撃をうけたということは先日書いた

それがきっかけで以前から気になっていた本書を読んでみた。「少年犯罪データベース」というサイトを運営している方が著者である。

一般的に「現代社会の問題」と言われている下記のような問題。

  • イマドキの子どもは昔と違って凶悪犯罪を起こすようになってしまった
  • 昔はひどいいじめなんかなかった
  • 学校の先生は立派で、学級崩壊なんてなかった
  • ニートは現代の若者病だ

これらは実はイマドキの問題ではなく、戦前~戦中にも存在していたばかりか、むしろ昔の方が多かったのだという事例を集めた本である。

(続きを読む…)

8月 14

山姥の子どもは金太郎?

仕事用に書いたものの一部修正転載です。


さて、先日ご紹介した長野市立博物館企画展で、あらたに定義されていた信州の七不思議の1つが、山姥 (やまんば) でございました。

山姥というと深い山で道に迷った旅人をとって喰うオニババアという印象ですが、案外と山に住む子どもたちの守り神として扱われているケースもとても多いです。

たとえば長野市中条村の虫倉山には山姥にまつわる話がたくさん残されていまして、ざっとあげるとこんなカンジ。
(続きを読む…)

8月 12

読書:謝るなら、いつでもおいで

10年前の2004年におきた、佐世保小6女児同級生殺害事件について書かれた本である。これはたまたま偶然なのだけれど、僕がこの本を読み終えた翌日、またも佐世保で今度は女子高校生が同級生を殺害する事件がおき、正直どっきりした。

以下ネタバレあり。

(続きを読む…)

8月 11

おばけのはなしはすきですか?

仕事用に書いたものの一部修正転載です。


長野市立博物館で、7月19日(土)~8月31日(日)の日程で「おばけ展~新信州七ふしぎ~」という企画展がおこなわれています。

夏はおばけ!というのもあるでしょうし、ここんところ「妖怪ウォッチ」というのが流行っているみたいなので、大変タイムリーな企画ですね。妖怪ウォッチグッズも売ってましたよ(笑)。

2016年の大河ドラマが「真田丸」ということで、真田幸村が主役なんだそうですけど、その真田家の歴史的ないろいろなものが展示されている、真田宝物館に所蔵された百鬼夜行図絵をはじめとした信州各地につたわるおばけ・妖怪の絵画の展示や、市立博物館独自にあらたな信州の七不思議を定義した。という企画です。

幕末に葛飾北斎を小布施に招いたことで知られる高井鴻山というひとは、狩野派など一般的にみられるどの妖怪画とはまったく異なる独特の妖怪画を描いたひとでもありました。

また、「ゲゲゲの鬼太郎」原作マンガのあるシリーズでは、鬼太郎が長野市の妖怪「ヤカンズル」(薬缶吊る) に負けてしまうという衝撃的な最終回を迎えたこともあったようです。

そんなこんなで、「信州と妖怪」というのは、新旧を問わず意外におもしろい話があったりします。
おばけ・妖怪というのは、実は本来オカルト的なこととは正反対のものです。
(続きを読む…)

4月 04

地方在住者におくる、radiko.jp プレミアムに金を払ってでも聴きたいラジオ番組

全国の民放ラジオ局をインターネットで配信してきた radiko.jp。震災時の一時的な例外を除き、例えば長野県なら長野県で普通に電波で受信可能な放送のみしか聴取できないような制限がかかっていたわけだが。

2014年4月1日をもって、有料かつ一部ではあるけれどもこの制限が解除された。その名も radiko.jp プレミアム。これはものすごくエポックメイキングなできごとだと僕は思うのだ。

ラジオや音楽は衰退していると訳知り顔で言われている昨今だけれども、海外に目を向けるとこんなハナシもあるそうな。

アメリカ人が新しい音楽を見つける時に使うテクノロジーは? 調査結果で明らかに | All Digital Music

ネタばらしをしてしまうと、YouTube よりも、家族・友人知人からのレコメンドよりも、AM/FM ラジオから新たな音楽に出会うことのほうがダントツで多いらしいというハナシ (12歳〜24歳ではまた違うらしいが)。

翻って日本ではどうか。よく知ってそうな方から日本とアメリカではラジオのポジションが全然違うのだというハナシはきくのだけれども、実は日本国内でも東京大阪のような大都市圏とそれ以外でのラジオ放送はまったくもって違うのである。

(続きを読む…)

3月 23

読書:8時間睡眠のウソ。 日本人の眠り、8つの新常識

さて、最近読んだ本の感想文。
もっとどんどん書くつもりだったのにさっぱり進みゃしませんな。たまるのはネタ帳ばかりなりけり。

さて本書、タイトルが Blog の釣りタイトルみたいでちょっとアレだけども、まあ健康に関するネタについては Blog より書籍の方が釣りタイトルについては大先輩なのでそこはツッコミどころではないのかも。

ただし、内容はとても落ち着いててむしろ地味感すらある。そういう意味では恐怖心を煽られるとかでなく、安心して読めると思う。

ひとことで言えばイマドキの睡眠医療についてざくっとまとめてくれている本。

(続きを読む…)

3月 07

吉田初三郎の鳥瞰図

「吉田初三郎の鳥瞰図」というものがあるらしいと気がついたのは数年前のことだったと記憶している。最初はどこでどの作品を観たのか正直なところ忘れてしまったのだけれども、確かテレビの「ブラタモリ」でタモリが古地図を持って東京の街歩きをしていて、ああ、古地図ってのはおもしろそうだな、などと思っていた頃にたまたまどこかで見かけたのだったろう。

長野電鐵沿線温泉名所案内

長野電鐵沿線温泉名所案内

それはいわいる「古地図」とは一線を画していて、まるで浮世絵のようにカラフルで美しく、最近のGoogleマップやiPhoneの地図アプリのように少し斜め上から俯瞰した立体的な地図であった。

まず単純に「美しい」と思ったし「Googleマップみたいでおもしろい」と思った。いくつか観ているうちに、自分が生まれ住んでいる長野県全域の温泉地を図解した鳥瞰図があることを知った。それが『長野県之温泉と名勝』という作品である。

信州デジくら | 長野県之温泉と名勝

(続きを読む…)