金太郎のおとうさんは誰だったのか?

妖怪

勤務先用に書いたものの一部修正転載です。


さて、何度かご紹介してまいりました長野市立博物館の企画展「おばけ展〜新信州七ふしぎ〜」は今月末まででございます。
近隣にお住まいの方々はもういらっしゃいましたでしょうか。まだの方はお急ぎくださいね。
毎週土日には「霊犬早太郎」と「鬼女紅葉」のお話を紙芝居でやってくださっていたので、最終の30日、31日もたぶんやっているのではないではないかと思いますよ。

さてしばらくお時間をいただきましたが、山姥のお話の続きです。
山姥の息子は金太郎であるという話が日本各地に伝わっており、足柄山の金太郎さんはなぜか神奈川県だけでなく、どうやらいろんなところにいらっしゃったらしいということ。

大町市八坂村にも金太郎をだっこした掛け軸が伝わっておりまして、前述の長野市立博物館の展示による説明によると、どうやらその金太郎の父親も判明しているとのこと。その父親とはだれか?というのが前回までのお話でございましたね。

その父親とは、信州安曇野の「大王わさび農場」のあたりに棲んでいたといわれております、「魏石鬼八面大王 (ぎしきはちめんだいおう)」という鬼なのだそうです。大王わさび農場と申しますのは、1917年に開場された、100年に及ぶ歴史を持ちます、たいへん大きなわさびの農場です。わさびというのは大量のきれいな湧き水の中で育てますもので、大変美しい大きな川といいますか池といいますか、下の写真のようにとてもすばらしい景色です。

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単なるわさびの栽培場というわけではなく、観光として楽しめる場所になっておりまして、私はよく存じ上げないのですが、下の写真にも写っておりますように、どうやらカヤックなどで乗り付ける方々もいらっしゃるようです。

日本を代表する世界の名映画監督、黒澤明晩年の短編オムニバスの傑作「」(1990年公開) 最後のエピソードであり、名優笠智衆がとても印象深い「水車のある村」は、この地で撮影されたそうです。劇中舞台となる水車小屋はこの映画のために建てられたものだそうですが、現在も残っておりまして、まるで100年前からそこにあったんじゃないかと思うほど馴染んでおりますな。

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敷地内には、魚や昆虫などといった水辺の動植物と親しめるような親水公園がありまして、自然の湧き水ですからこれが夏でも結構冷たい。農場として人工的に整 備されたところですから、小さなお子様が水難にあわれるような危険なところもなく、安心して水に触れられる場所も提供されています。

また、ここらあたりは定番と申しますかお約束と申しますか、わさび味のソフトクリームやらわさび入りのコロッケなんぞが売っておりまして、それらを食べ歩きながら施設内を見て回ったりできるわけで、これが「どうせ観光地のヘンテコな食い物だろう」と思うと、意外においしかったりします。だまされたと思って1度お試しあれ。

も ちろん施設内の売店ではその地で採れたと思しき本わさびもたくさん売っておりまして、安いものでは1本500円ぐらいから、お高いものでは1本で 8,000円というものもお見かけいたしました。もっと高いのもあったのかもしれませんが、庶民であるワタクシには縁のないレベルになっておりましたので あまりよく見なかったんですけども。

このお盆休みに私も取材取材などといってお邪魔してきたのですが、県外ナンバーのお車でいらした方ば かりで大変にぎわっておりました。正直、「あれぇ?こんなに人気あるんだここ??」と思ってしまいまして、ちょっとなめてました。一風変わった観光地です が、1度はお越しになっても絶対損はありません。

さて、「魏石鬼八面大王」とは、前述のようにかつてこのわさび農場の敷地内に棲んでいたといわれる鬼でございまして、この安曇野や松本市あたりの中信地域とよばれる長野県の真ん中あたりの地域には大変影響を与えた存在のようでして、さまざまな物語が残っていたりします。

わさび農場内にはこの八面大王が退治され、その体をバラバラにされて、別々にお祭りしたといわれる場所がいくつかあったりします。

こちらの写真は農場の真ん中あたりにあります「大王神社」ですが、でかい草鞋がくっついてますので、たぶん足が祭られているのかなと思ったら胴体がうまっているのだそうで、なんだかよくわかりませんけどね (苦笑)。

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そんなわけで、八面大王はこのあたりでは大変有名な鬼でございますので、ほかのお話とくっついてあらたなお話が作られたりいろいろしたようでございます。大町市八坂村の山姥の子息である金太郎のその父親が八面大王というのも、そんなカンジで別のお話がくっついちゃっただけかもしれません。

信州の山姥と金太郎、そして八面大王の物語とは、いったいどんな物語なのか?それについては、また次回のお話とさせていただきましょう。長い前振りでしたが、実はこれまでのお話を踏まえていただくと、ちょっとだけどきっとするお話だったりします。

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