勤務先用に書いたものの一部修正転載です。
さて、先日ご紹介した長野市立博物館の企画展で、あらたに定義されていた信州の七不思議の1つが、山姥 (やまんば) でございました。
山姥というと深い山で道に迷った旅人をとって喰うオニババアという印象ですが、案外と山に住む子どもたちの守り神として扱われているケースもとても多いです。
たとえば長野市中条村の虫倉山には山姥にまつわる話がたくさん残されていまして、ざっとあげるとこんなカンジ。
- 川や池で溺れかかった男の子を「ととっけ」といわれる髪の毛をつかんで助けてくれる
- 「疳 (かん) の虫」を切るための鎌を授けてくれる
- 酒屋に2合徳利で2升の酒を買っていった。お孫さんのお祝いか?
中条村道の駅のサイトにくわしく載っていましたので、ご参照くださいませ。
近年観光用に「いいはなし」ばっかしピックアップされていたりするのかもしれませんけどね。
お孫さんの話も上で出ていましたけれども、「山姥が子どもの守り神である」という話の論拠の1つとして、箱根足柄山の金太郎のご母堂は山姥だという話があったりします。
足柄山の金太郎というのはもちろんむかし話の金太郎。強い男の子の象徴であり、マサカリ担いだ金太郎さんですが、金太郎って桃太郎みたいに鬼退治したでもなく、浦島太郎みたいに異世界を旅したでもなく、クマと相撲とったとかいまいちピンとこないお子様だったりします。
が、実はこの金太郎、大人になってからは坂田公時 (さかたのきんとき) と名乗り、平安時代の武将源頼光につかえた頼光四天王のひとりでございます。京都大江山の酒好きの鬼「酒天童子」を倒したりして、朝廷の全国平定に尽力した人物でありますな。「ククク、奴は四天王の中でも最弱」なのかどうかは知りませんけど。
山姥と金太郎親子の絵は美人画で有名な喜多川歌麿が浮世絵に何十枚も描いたりしておりまして、山姥が男児の守護者だというのは昔は有名だったようです。
で、この山姥&金太郎母子、どういうわけか足柄山 (正しくは金時山) のある神奈川県だけでなく、日本全国に伝わっており、全国におらが山姥&金太郎母子の絵が残されているのだそうです。ご当地キティちゃんみたいなものでしょうか。
先日の長野市立博物館に話を戻すと、長野市中条村にある虫倉山の虫倉神社に所蔵されていたという掛け軸と、大町市八坂に伝わるという掛け軸が展示されており、どちらも山姥が金太郎をだっこしているものでした。信州にも金太郎さん、いたことになっております (笑)。
そして、これら掛け軸の解説には気になることが書かれていました。
なんと、大町市八坂の金太郎は、母親だけでなく、父親が誰なのかもわかっているのだそうな。ててなしごではなかったのですね。
そしてその父親とは!?
というところで、またもや前置きだけで長くなってしまったので、続きはまたの機会とさせていただきとうございます。
結構長くなりますよこの話。あ、そこのひと寝ないでくださいね。
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