『WHAT’s IN?』が休刊するそうだ


元ネタ:ナタリー – 「WHAT’s IN?」「PATi・PATi」が休刊へ

たしか僕が中学生だか高校生だかの頃に創刊された雑誌で、当時はCBSソニー出版という会社が出していた。当時のいわゆるバンドブームにあわせたポップミュージックの紹介雑誌で、CDがバカ売れしていた時代でもあり、版元からしてCBSソニーやEpicソニーの国内ミュージシャンの販促もありーのの、中高生むけ雑誌というのごパブリックイメージだったと思う。

Wikipedia にざっと創刊からの特集タイトルが並んでいるが、同世代の皆々様いろいろとなつかしーと思われるのではないかと。

しかし、現役の中二病バリバリだったワタクシがこの雑誌を痛くいたく気に入っていたのは、第一特集を隠れ蓑に?行われていた第二特集や各種の連載コラムであった。

まずなによりこの雑誌をよく読むようになったのは、Epicソニーがなんの告知も説明もMCもなく、故・坂西伊作監督作を中心にやたらかっちょいいオリジナルのPVをただただ流しまくっていた伝説かつナゾの深夜番組 eZ の放送スケジュールと番組内容紹介が掲載されていたからである。放送スケジュールは同じく休刊となるPATiPATiにも載っていたけれども、PATiPATiは僕のイメージでは「チェッカーズの雑誌」というカンジで、まあベストテン番組に出てくるようなどちらかというと歌謡曲要素の強いタレントさんのグラビア誌という性格が強かったし、なにより番組内容まで書かれていたのは WHAT’s IN? だけだったと思う。

第二特集も岡村靖幸氏、ストリートスライダーズ、エレファントカシマシといった、ベストテン番組にはそうそう出てこないようなEpicソニーこだわりのミュージシャンや、当時のバンドブームでちょうど世代的に入れ替わりになっていて活動が少なくなり露出も減り始めていた RCサクセションや、その代わり台頭していた(w)タイマーズなどが積極的に特集されていた。そう、当時、サザンオールスターズが好きかRCサクセションが好きかで概ね世界が分断されていたような気がする。

これまた伝説のバンドであるボ・ガンボスをデビュー前からこの雑誌は猛烈にプッシュしていた。正直この雑誌に掲載されていたボ・ガンボスの記事やビジュアルを観て、ああ、これは僕のあまり好きでないイカれたカンジのバンドだなと思っていたのだけれども、前述の eZ ではじめてその実際のビジュアルと音楽を聴いたところ、完全にヤられた。かっこよかった。それがニューオリンズ音楽を知るきっかけだったし、めぐりめぐって細野晴臣氏の音楽も同じ根っこだったことがわかって、後に1回転してルーツに戻るわけだがそれはまた後のハナシ。

そしてコラムである。後にBBクイーンズとしてちびまる子ちゃんの「おどるポンポコリン」で名を馳せる前、伝説のブルーズバンド「ブレイクダウン」解散後ソロ活動をはじめたばかりで全国的な知名度は正直あまりなかった頃の近藤房之助氏による旅や伝説のミュージシャンをとりあげたコラムがとにかくおもしろく、特に食い物のあれがうまいこれがウマイというハナシは美味しんぼブームより前だったとうっすら記憶しているが、これが破壊的におもしろかった。

音楽評論家小貫信昭氏によるコラムもとてもおもしろかった。小田和正氏のライブで彼の肩からうろこ雲が立ち上ったという表現にとても感銘した。そういうビジュアル演出があったのではなく、彼のキーボードから出るサウンドから小貫氏がそういうイメージを得たということである。

とにかく当時中学生だか高校生だった自分は耳あたりの好き嫌いや歌詞に共感できるできないという単純な音楽の聴き方をしていたのだけれども、サウンドの味わい方をこのコラムで学んだように思う。

「いい声なのは細野さん。幸せな気分になる声はもちろん所ジョージさん」という1文にも度肝を抜かれた。当時まだ自分が細野晴臣氏ファンであることを自覚しておらず、細野さんもたぶんいちばん活動されておらず露出が少なかった時期で、僕にとっては気になる存在だけれどもよくわからない人だったのだけれども、この1文はものすごく納得した。

また、僕は所ジョージさんの声、メロディ、そして独特の世界観が「このひとはもしかしてものすごいミュージシャンなのでは???」と思いつつも、世間ではやれBOØWYだレベッカだというバンドがカッコいいのであって、あまり大きな声でそういうことを言うのはなんとなくはばかられたのだけど、自分が尊敬すら感じはじめていた小貫さんがそうおっしゃるのであるから、これは自信を持って所ジョージさんは素晴らしいミュージシャンなんだと思って良いのだと自覚したものであった。

そんなわけでとても気に入っていた雑誌なのだけれども、ある号から突然、それまでの連載が全部なくなり、なんかものすごく当たり前で普通の雑誌になってしまった。上記 Wikipedia の一覧から思い出してみると、創刊からおよそ2年後ぐらいの出来事だったようだ。

たしかこのサイトをはじめて2〜3年ぐらいした頃、『その昔「WHAT’s IN?」という雑誌があって、いや今もあるのだけれども、今あるソレとはまったく別の雑誌であった』という文章を書いたことがある。上記でも書いた近藤房之助氏と小貫信昭氏のコラムが大変おもしろかったのにということを書いた。

いろいろあって何度かこのサイトをリニューアルしたときにそのデータは失ってしまったのだけれども、事情はさすがに語っていただけなかったものの、その事実を認めるコメントをなんと小貫信昭さんご本人にいただいた(!!)こともあった。そのときは所ジョージさんのニューアルバムがなんとエイベックスから出ますよなどと教えてくださったりもしたw

そんな貴重なデータを失ってしまうのだから、ワシも大タワケである。

まあそんなこんなで、特に結論もなにもないのだけれども、そんなことをつらつら思い出したのであった。あの頃の「WHAT’s IN?」は滅茶苦茶おもしろかったなあ。当時の製作に関わっていらしたすべての方々にお礼とともに、お疲れ様でしたと申し上げたい。


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