勤務先用に書いたものの転載です。
さて、そんなわけで善光寺の話まとめだ。
---だいぶあいだがあいちゃって、なんのはなしか覚えていませんけどね。
まあそういうな。前回善光寺は実は結構「たたる」ヤバイ寺なんじゃないかという話だったな。そして、善光寺は善光寺ご本尊だけでなく、別所の北向観音にまでみはらせなければならないような、ヤバいものがいるのかもしれないということ。
---オカルト嫌いなんじゃなかったでしたっけ?
ここまでの話をいくつか思い出してみよう。諏訪大社には出雲、つまり当時の国の中心地から武力で制圧されて逃げてきた神様がいる。そして善光寺ご本尊も関係した、蘇我馬子と物部守屋の宗教戦争もかつてあった。この2つの話はなんとなく似ているような気がする。
---まあなんとなくですけどね。
ところで、タケミナカタが諏訪に逃げてきたということは、それ以前にはそこには神様はいなかったのか?ということになる。
---なるほど?
タケミナカタの話というのはあくまでお話であって、本当に誰かが諏訪に移ってきたというこではないらしいという説が主流らしいけどな。しかしそういう「お話」ができるということは、もともと諏訪の地には信仰を集めるなにかがいたということでもある。
タケミナカタ以前の諏訪には「ミシャグジ」「洩矢 (モレヤ)」といった、蛇の姿をした神がいた。
---蛇の神様ですか。なんか最近そんなアニメやってましたね、なんとか物語とか。
もちろん今でもその土着信仰は息づいていて、諏訪には諏訪大社だけじゃなくて、守屋神社というのがあったりするし、「守矢」という苗字の方々は今も昔も諏訪では結構要職についてらしたりする。でもタケミナカタとミシャグジ、洩矢は結構混同されていることも多いときく。
---へー、トリビアですね
ここまででなにか気がつかないかな?
---は?えーと守屋神社ですか?守屋?あれ?物部守屋とは関係ない…ですよね?
関係あるとしたらどうだ?
---ど、どうなるんですか?
東京大手町のどまんなかに平将門の首塚がいまでもあって、なにかあると「たたられる」と今でも言われているな。前にも言ったけど、「たたる」というのは本当に死者がたたるのではなくて、生きているひとが「そう思う」ことによって成立するものなんだ。
---はい
平将門がそんなとてつもないたたり神とされたのは、本来とても有能かつ人望のある男だった将門を、政治的理由で殺害せざるを得なかった、権力者側の「うしろめたさ」があったと考えられる。
---じゃあ物部守屋も?
あきらかに政治権力の争いで負けてしまったわけだし、神官である中臣氏のうしろだてもあったんだ、たたりを恐れたということがあっても不思議じゃない。
---じゃあタケミナカタが他の神様に負けて逃げてきたってのは、物部守屋の話だってんですか?でも洩矢って神様はタケミナカタより前からいたんでしょ?
だからさ、そのあたりは混同されている可能性があるってことよ。
---なるほど、じゃあ諏訪のどこかには物部守屋がまつられて、たたりを封じられている?
オレはそれはむしろ善光寺だと思う。
---なんと?
仏教に反対した物部守屋のたたりは、物部氏が川に捨てた、日本最古の仏である善光寺ご本尊に鎮圧させるのがもっとも効果的だろうよ。
---な、なるほど、だから北向観音もそっちをむいて、善光寺から守屋が復活しないよう監視していると。しかしなにか根拠はあるんですか?
地図上で善光寺、北向観音、諏訪大社上社をみてみろ、一直線上に並んでいる。これが偶然であるはずがない。
---なっ!????(下社はどうなるんだろう…)
7年 (正確には6年) ごとに善光寺御開帳があるというのも無視できない。江戸時代に御開帳の真っ最中に大地震が起きたというのもあったな。あれはもしかして物部守屋のたたりかもしれない。
---ちょっとちょっと
7年ごとに善光寺によるたたり封印のパワーが落ちてしまうんだな。だからこそ本当には御開帳しない「御開帳」イベントをやって、日本全国の善男善女を集め、信仰のパワーを集めないといけないんだ。
つまり、善光寺御開帳とは、物部守屋のたたりを抑えるために日本全国から信仰パワーを集める重大な儀式であり、これに参加しないと日本は大変なことになってしまうんだよ!!!
---な、なんだってーーーーーー!!!
……はい、ながいフリで大変失礼しましたが、これがやりたかったんです。すみませんすみません。
というわけで、いよいよ迫ってまいりました善光寺御開帳、そんなオカルトじみた話はおいときまして、ぜひ皆様お越しくださいませ。
次回からは善光寺のおもしろポイントのご紹介などをさせていただくつもりですよ。
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